親として
2020/3/16
アートが人に与える力
最近やたらと言われるSTEAM教育
その中でもARTについて
保見アートプロジェクトをご存知でしょうか?
愛知県豊田市にある保見団地。そこには多くのブラジル人が住む。自分の勤めている学区である。うちの学校には外国籍の子が7割いる。当然いろいろな課題が入り混じる。その一つをアートの力で乗り越えようというプロジェクトだ。
11月に学校の体育館にアーティストさんが5人来てくれて、巨大な落書きをさせてくれた。みんなが好き勝手に描いた絵は、アーティストさんの力で星空となった。今週卒業式が行われる予定の体育館に今でも飾られている。
そのワークショップ中に感じたこと。子どもたちのエネルギー量。普段学校にいると、道を外してしまい、注意されることが多い子たちが自分のエネルギーを一生懸命落書きに向けていた。
中には途中で、自分の顔に絵の具を塗り出したり、髪の毛にもべっとりつけている子もいた。
みんなそれぞれに自分なりのアートを表現していた。いや自分を表現していたのだ。
外国籍の子は日本語が十分に話せない子も多い。だから感情表現が難しく友達とぶつかってしまう子や、授業が面白くなく外に飛び出してしまう子も4月はたくさんいた。
けれども絵を描くという行為に言葉はいらない。自分の思い通りに描けばいいのだ。それが心地よかったのか、みんな楽しそうに描いていた。
先生であるはずの自分も途中から、いろんなものを手放し一緒になってペイントした。これがまた気持ちよかった。
感情を解放する。言葉にするとチープになってしまうが、確かにその瞬間が体育館にあふれていた。これがアートもつ最大の力ではないかと思う。
前任校でキャリア教育の一環で、路上詩人をしている友人を教室に招いた
街中で道に座り言葉を書いて生活をしている。そんな彼の発する言葉に、子どもたちの目は輝いた。
そして2時間目、習字道具を出して半紙に思いっきり好きな言葉を筆で書かせてくれた。いつもは決まった字を、決まった時間に教科書通りに書かされることに慣れていた子どもたちは最初戸惑っていたが、次第に感情を解放していた。
「しね」とか「うんこ」とか「うざい」とかいう字を書きなぐっていた。管理職の先生は苦い顔をしていたけど、子どもたちは心の中に溜まっていたどす黒いものを吐き出せたことが気持ちよかったそうだ。
後から、その友人に話を聞いたが時々自分の中に溜まったものを外に出さないと腐ってしまう。そんな話をしてくれた。
そうだよな、感情を棚卸しをしていかないといっぱいいっぱいになっちゃうよな。そんなことに気づいた瞬間であった。
来週の土日 3月21日・22日、28日は公開製作として一緒に絵を描けるらしい。アーティストさんの助手として、色ぬりができる。
そして3月29日が完成イベントが行われる。ぜひ足を運んでアートの力を体感して欲しい。