学びの形

2023/1/16

漢字の覚え方（短期記憶と長期記憶について）

漢字も何度も書く意味

先生をしていると、子どもからよく「何回も書いて意味があるんですか？」と聞かれます。子どもが納得のいく説明ができると、いいんですが意味はあります！！と無理やり納得させようとしても、なかなか伝わりません。

じゃあ、どう伝えるのか、短期記憶と長期記憶の話をすると理解しやすくなります。

例えば、自分の名前の漢字を忘れる人はいないと思います。少しぐらい難しい漢字でも、毎日書いたり目にしているので、忘れることはありません。これは長期記憶の部屋に入っているからなんです。

短期記憶と長期記憶

短期記憶・・・初めてみるものを、少しの時間記憶しておく部屋。初めて行く店の道順や、服屋の店員さんの顔など、ずっとは覚えていなくてもいいですが、短い時間記憶しておくための部屋。新しく学習した漢字なども、こちらの部屋に入ります。

長期記憶・・・何度も繰り返し、見たり書いたりすることで記憶に固定されているもの。自分の名前の漢字。住所・電話番号、タブレットやＰＣのログインＰＷなどもこちらになります。

漢字を覚えるとはどういうこと

簡単に言うと短期記憶の部屋から長期記憶の部屋に移す作業になります。一度書いただけではなかなか長期記憶に結びつかないので、何度も書いたり、声に出して読んだりすることで覚えていきます。

シナプスという、神経をつなぐ細い線があります。

一度新しい漢字を書くと、細い線が薄くつながります。が、しばらく経つとその線は消えてしまいます。

これを何度も書くことで、細い線が少しずつ太くなっていき、数日経っても消えないようにするのです。

この話を子どもにすると、なんで何度も漢字を書くのかという意味が伝わります。書く回数についても、決して３回書けばよいというものではなく、長期記憶に記憶されること。シナプスが太くなって、線が消えなくなればよいことが分かると、俄然やる気スイッチが入るのです。

もう少し詳しくしりたい方はこちらを参照ください 　東洋大学　医学博士に聞く、記憶力・学習力アップに影響する脳機能「シナプス可塑性」とは？

https://www.toyo.ac.jp/link-toyo/life/synapticplasticity/

人の記憶は３日で７０％消失する

こちらも記憶のメカニズムですが、初めて覚えた漢字ですがなにもせずに、そのままにしておくと３日後には７０％が消失します。つまり１０個の漢字を覚えて、３日後にテストをすると覚えているのは３つだけということになります。

もちろん個人差がありますが、一般的な数値としてその程度であることも子どもに伝えます。その上で、学習をした次の日や２日後にもう一度、同じ漢字を覚えると忘れるものが減ります。

まあそんな定期的に覚えなおしをしたり、AIでもない限り完璧に復習したりするのは無理だよという声も聞こえてきそうですが、こういう仕組みがあることを子どもたちに伝えるのは、かなり有効です。

なんの説明もなく、ただ書きましょうではなくきちんと脳のメカニズムを伝えた上で覚えてもらうことで、何度も書けばよいのではなく、長期記憶に入れることを目的として学ぶことができるのです。

一生使える学び方

この方法をマスターすれば、英語の単語学習でも算数や理科の公式でも、社会の人名や年号などもすべてに対応することができるのです。

頭のいい悪いではなく、コツを知っているかどうか。覚え方も、何度も書くだけでなくなるべく五感を使って覚えると長期記憶に残りやすいです。

例えば都道府県と特産品を歌で覚えたりするのもかなり効果的です。こちらのYouTubeをどうぞ。

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